【MO】アルトリア銘柄分析になります。【MO】アルトリアの現在の株価は$45.25配当率は7.13%です。先日5%の増配が発表され連続増配50年の配当王となっている米国株投資家にとって高配当で人気のタバコ銘柄になっています。
2019年8月27日にフィリップモリスとの再合併可能性のニュースがはいってきました。
【MO】アルトリアと【PM】フィリップモリスの再合併可能性のニュース!2008年に元々同じ会社だったのが、訴訟リスクを軽減するために分社化して、米国100%がアルトリア、それ以外がフィリップモリスとなっていたんです。フィリップモリスの銘柄記事は下記です。
この報道を受けて当初は【MO】アルトリアは一時10%近く急上昇したのですが、最終的には下記グラフの様に【MO】アルトリア、【PM】フィリップモリス、【BTI】ブリティッシュアメリカンタバコとも下落しました。*オレンジがアルトリアです。
今回はアルトリアの合併に関してもポジティブな面とネガティブな面を記載し、アルトリアの銘柄分析を行っていきます。
ではもみあげ米国株投資家のアルトリア銘柄分析記事をお楽しみください!
*投資判断はあくまで自己責任で
アルトリアとフィリップモリスの合併判断
ポジティブポイント
・キャッシュフローが潤沢になり、全世界においてマーケットの選択と集中が可能になる。
・iQOSの販路拡大、またJuluも全世界に販売することができれば、更にE-cigarettesの全世界におけるシェア率を拡大可能。全体の売上を上げることも可能になる。
・投資家にとって合併によってキャッシュフローが潤沢になれば、更に長期的な増配が期待できる。
ネガティブポイント
・元々訴訟リスクを懸念して、米国内をアルトリア、それ以外の国をフィリップモリスとスピンオフしたので、再合併は訴訟リスクを増加させることになる。
・今までフィリップモリスはFDAの影響を大きく受けなかったが、アルトリアと合併することによってFDAの影響が大きくなる。またFDAが新たに規制強化する可能性も高くなるか?
・下記日経記事にあるように合併の割合によって、株価が変化する。フィリップモリスホルダーは株価が現状より安くなる。アルトリアは現状より高くなる。投資家によって違うが、フィリップモリスをアルトリアより多く所有する場合は損失がでるかも。今の所の報道ではフィリップモリスが59%の株式を所有する予定だという事。
アルトリアとフィリップモリスの合併ニュース
まだ合併の可能性までです、合併が具体的に進んでるように見えても、そもそも合併に対する法的な規制なども非常にハードルが高く、実現するどうかは本当に不透明な点が大きいのでそこは注意してください。
アルトリアとフィリップモリスは地域の区分けを無くして、現在の成長性の高いE-cigarette分野において再合併によって成長性を加速させ、市場でのシェアを一気に拡大させるというのが一番の狙いだと思います。
ウォールストリートジャーナルの1面でもこの事が報道されていますね。それほど大きなインパクトがあるニュースだという事です。
ロイターがのこの合併の可能性や何を狙っているのかを詳細に記事にしているので、内容を和訳しますね。
フィリップモリスとアルトリアが再合併と株式の統一に関して議論した。これはこの10年で世界で最大希望の2社が一緒になる事によって、E-cigarette市場における寡占的成長を狙っての物になる。(タバコ市場シェア1位が40%の中国のタバコ会社、合併すれば2社で市場の15%シェア、ブリティッシュアメリカンタバコが3位の10%)
アルトリアの株価は1時6%アップ、その一方フィリップモリスは10%の下落。この2社の合併は時価総額として$2000億(日本円で21兆2千億円)以上の価値になるだろう。
既存タバコ(紙巻きタバコ)の売上は2018年と比較して4.5%下落している。(Analyst Cowen)対照的に2018年に$110億(日本円で1兆1600億円)の市場規模だったE-cigaretteは今後5年間で年間8%ずつの成長が期待できる。(Mordor Intelligence resarch film)
今年4月にフィリップモリスはFDAから加熱式タバコiQOSの米国内の販売承認を勝ち取った。既存の紙巻きタバコより上昇を期待できる大きな勝利だった。
”アルトリアとフィリップモリスの再合併の可能性はしばしば議論されていた。しかし我々は信じなかった。何故ならばこのことがアメリカ市場において重い規制負荷を発生させ、そして成長利益を弱まらせる可能性があるから”(Stifel analyst Christopher Growe.)
FDAのiQOSの承認が均衡を何か変化させる可能性は何もない、Groweは更に付け加える。我々はフィリップモリスとアルトリアが再合併を再考するに十分だとは信じられない。
可燃性タバコとは異なり、iQOSの装置は紙に包まれたタバコのフィルタースティックを温めて、そしてニコチンを含む煙を生成する。それらは人気のあるニコチンを含まれた液体を蒸発させるJulu装置の様なE-cigarettesとは異なったものである。
Juluの株式の35%を所有するアルトリアは既にフィリップモリスがライセンス承認を受けたiQOSの一部として米国マーケットに参入している。
月曜日の顧客向けのノートにおいて、Wells FargoのアナリストBonnie Herzog は Juluはフィリップモリスのインターナショナルビジネスの拡大における理想的なパートナーになると述べている。
Herzogは付け加えた。フィリップモリスはiQOSの米国内における成長を加速させることができるかもしれない。米国内において全面的に販売権を所有できれば。
フィリップモリスの年間売り上げは直近で$300億(日本円で3兆1800億円)、一方アルトリアは直近で約$200億(日本円で2兆1200億円)だ。両者はその再合併が実現する保証は何もないといった。
あらゆる合併はフィリップモリスとアルトリアそれぞれに関係する役員・株主そしてに承認される必要があり、そして強固な法律的な承認プロセスに直面しうる。
”アメリカにおける法的な環境は過去5年間においてタバコ会社にとって非常に変化が激しく大きな重荷になっている。そして明らかなのはFDAがタバコの生命線を握っているという事だ。”とStifel'sGroweは言った。
アルトリア財務分析 & チャート分析
【MO】アルトリア
予想PER : 11.24
配当率 : 7.13%
連続増配 : 50年
米国での売上がほぼ100%の企業になります。
全世界的にタバコの出荷量は減少しています。但しタバコ産業は枯れた産業と考えられていて、極端に設備投資が少なくて済み、それもある為に売上減少でも高収益状況を維持して、高配当を継続できています。
財務分析
売上・営業利益・利益率)
売上はほぼ横ばいですが、営業利益率が37%以上という非常に高い利益率を誇っていますね。設備投資に費用が大きくかからない効果がでています。
キャッシュフロー)
キャッシュフローは非常に潤沢です。このキャッシュフローでカナダのマリファナ企業のCronosへの投資や、E-cigaretteのJuluの株式を35%買収して事業拡大を図ってきていました。
EPS・配当・配当性向)
配当性向は2016年と2017年の例外を除いて概ね80%位で推移してきています。EPSは上昇しているのが配当を考慮していると心強いです。
チャート分析
チャートは2017年まで右肩上がりですが、その後FDAの規制強化、また全世界におけるESG活動の高まりによる既存紙巻きたばこの売上減少に伴って、株価は低迷し続けている状況です。
*stockcharts
【MO】アルトリア銘柄分析まとめ
アルトリアは直近でも5%の増配を発表し、50年間の連続増配で配当王になっています。よって直近での減配の可能性はないと考えています。
ただし45%の株式を保有してるカナダのマリファナ企業のクロノスの売上が期待した以上に伸びていない。また35%の株式を所有するJULUに関しても米イリノイ州で電子タバコが原因とされる死亡が報道され、米国内ではますます逆風にさらされています。
タバコの依存症は非常に高く、嗜好品に分類されるために簡単になくなる事は無いですが、世界中で逆風にさらされているのも事実ではあります。
とはいえ元々成長を期待されず割安でおかれてるタバコ銘柄ではあるので、状況的には配当を継続できるならホールドと考えています。いまの不安定なマーケット状況で高配当7%は投資家にとっては非常に有難いです。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回はアルトリア銘柄分析をアルトリアとフィリップモリスの再合併報道のニュースと共に行いました。
全世界的にタバコという依存性が高くまた健康被害が大きいといわれる嗜好品への逆風が大きくなっているのはまちがいありません。タバコ企業もそれに対して健康被害が比較的少ないとされる(科学的根拠はない)E-cigaretteで売り上げ拡大を図っています。
その状況である為に、今回のアルトリアとフィリップモリスの合併にも注目が集まっていくことになります。これに関連して【BTI】ブリティッシュアメリカンタバコや日本の高配当投資家に人気のJTにも影響を及ぼしてくると思われます。
しばらくはタバコ銘柄の株価は更に不安定な状況になる事が考えられますが、事業自体が財務的に厳しいわけではなくまだまだキャッシュに余力があるタバコ企業の為に、米国株投資家としては静観しつつ見守るしかないかと思っています。
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