米製薬アッヴィ(ABBV)がアラガン(AGN)を630億ドルで買収予定というサプライズニュースが昨日は飛び込んできました。
こんにちわ!もみあげ投資家ブログにご来訪頂き誠にありがとうございます。
高配当投資戦略をとっている米国株投資家にとっては非常に人気が高い企業で有名なアッヴィですが、この買収報道があったことにより、一気に株価が15%近くダウンすることになりました。アラガンは30%近く上昇しています。
投資家にとってこのニュースをどのように考えるべきなのでしょうか?もみあげは銘柄分析をする事によって、今回の株価下落をチャンスとみて買い増しをする予定です。
※投資判断をより深く分析するために、たぱぞうさんとノミの投資家さんのブログリンクも追加しています。どのように財務などを分析するかは個々人によって異なると思うのですが、様々な観点から分析するとより自分の投資ストーリーが固まってくると思います。
*投資は自己責任です。あくまで参考にでお願いします。
アッヴィ投資判断
今回のニュースを受けて米国株投資家のもみあげとしてはもちろんアッヴィを売るつもりはありません。
今後この会社がどのように成長していくのか気になっていたので、むしろ潤沢なキャッシュフローを使った将来を見据えた企業戦略として非常に好感を持っています。
確かに一時期株価は低迷することが予測されますし、買収の効果が絶対に上手くいくという保証はありませんが、高配当株に投資するのはこのような報道に関して狼狽しないで企業分析によりメリットとリスクを確認して、投資判断をするべきだと思います。
その判断が自分の中でストーリーを構築して、正しい投資に繋がっていくと信じています。
ナンピン大好きなので・・買増しの可能性が高いと思います。(笑)
皆はちゃんとこの記事読んで冷静に分析してね。
*投資は自己責任です。あくまで参考にでお願いします。
アッヴィのアラガン買収ニュースまとめ
各社のニュース内容
各社ニュースにおいて今回の買収は大きく取り上げられています。それほどの大規模な買収ということですね。買収という内容では製薬業界において今年1番のビッグニュースであることは間違いないです。買収自体は2020年に終了予定との事です。
アッヴィが製薬業界で米国2位、全世界で4位の売上に!
もみあげが注目したのはこの買収によってアッヴィが米製薬業界で2位・全世界で4位になるという事です。
2018年の製薬業界トップ10
今回の買収でアッヴィの売上は480億ドルになる事が予想されています。ということは米国ではファイザーに次いで2位、全世界ではメルクを抜かして業界4位に昇りつめます。
バイオ薬品部門が強いアッヴィと米国特殊医薬の消費者よりに強いアラガン、棲み分けが出来ていた両社が一緒になるという事は業界での勢力図を塗り替えるようなビックサプライズになりますね。
アッヴィ
アッヴィ (NYSE : ABBV)
予想PER : 8.93
配当率 : 5.46%(今回の買収で配当が6%を超えます。)
連続増配 : 2013年にアボットラボラトリーから分社化され設立されてから連続増配
本社 : イリノイ(USA)
配当確定日 : 7月12日
Q2決算 : 7月26日
直近の決算は良好だった。
アッヴィ決算
— 米国株 決算マン (@KessanMan) April 25, 2019
AbbVie (NYSE:ABBV) Q1'19
EPS(Non-GAAP) $2.14 予想 +$0.07
売上 $7.83B (-1.3% Y/Y) 予想 +$20M
世界最大売上を誇っていた治療薬ヒュミラはバイオシミラーで減速か。
株価は時間外で+2.2%https://t.co/KiLsOrhCVF pic.twitter.com/k0Fatzvudo
10年間の財務指標とチャートを確認していきます。
*全てUSD(million)での数字になりますのでご注意ください。
①売上・純利益・粗利率
売上はほぼ右肩上がり売上の61%を占めるのが抗リウマチ薬の「ヒュミラ」になり、2016年に特許が失効になっています。但しそれ以降も確実に売り上げが上昇していますが、利益率の低下が気になる所です。
②営業CF・フリーCF
アッヴィが高配当投資戦略として人気がある一番の理由がこのキャッシュフローになると思います。なんと売上高の40%がフリーキャッシュフローというとんでもなく稼ぐ企業だというのがわかると思います。今回の6兆7千億円に関しても、比較的短期間で全て払い終わることが可能であると予想はできます。
③EPS・配当・配当性向
分社化された2013年以降のデータになりますが、配当は毎年増配してきたことがわかると思います。ただ配当性向が100%近くあったので、今後は連続増配は続けるとは思うのですが、配当増配率を落としてフリーキャッシュフローを使って今回の買収資金をまかなっていくことが予想されます。
④5年株価チャート
*StockCharts
2018年に一時期120ドルを目指すまで伸びていたのですが、ヒュミラの特許切れによる利益減少に懸念を抱かれてしばらく株価が低迷していました。また本日の発表で更に直近の79ドル近辺から66ドル近くまで15%ほど下落しています。
⑤投資判断
配当が5.6%近くあるために高配当投資戦略を行う場合にこの銘柄を好んで所有する投資家は沢山いらっしゃると思います。ヒュミラの特許切れに伴う利益率減少が目立ってきました。
但し潤沢なキャッシュフローをアラガン買収に利用して、セクター内でのポジション強化、更に人員整理や新たなブロックバスター開発に力を注ぐということは、将来に対しては明るいと考えることもできると思います。
ヒュミラの次として血液がん治療薬の「インブルビカ」が期待もされていました。実はこの将来性も明るいと自分は考えていました。ソースは下記になります。2024年には1兆円近い売上になると見込まれるといった内容です。
いつも銘柄分析でお世話になっている、Hiroさんはもっと詳細に分析されています。
たぱぞうさんも今回の買収に伴う銘柄分析をされてくださっています。
ノミの投資家さんもアラガンの財務分析を含めて今回の買収を分析してくださっています。
アラガン
アラガン(NYSE : AGN)
予想PER : 7.79
配当率 : 2.28%
連続増配 : 2017年から配当開始
本社 : アイルランド
アラガンは実は自分もノーマークでした、バロンズでこんな記事がありました。
10年間の財務諸表とチャートを確認してみます。
*全てUSD(million)での数字になりますのでご注意ください。
①売上・純利益・粗利率
売上高はほぼ右肩上がりでした。但し2016年に大きな利益を出した後に一点して2017年から赤字に陥っています。こちらは米国の税制改革に伴う税金費用支払いが影響してる特殊要因だということです。
②営業CF・フリーCF
2016年に1度営業CFが大きく落ち込みますが、投資CFとの入り繰りがあったことが原因みたいです。その年以外は順調に営業CFとフリーCFを伸ばしてきていました。但しこの資料内ではでていないですが有利子負債が大きく、キャッシュによって有利子負債の返済を優先にしなければいけなかった財務事情があるという事です。
③EPS・配当・配当性向
配当が2017年からスタートしたために、配当性向はマイナスです。1993年に上場した比較的若い企業だった為に、配当ではなく成長のための設備投資に儲けを投入してきたという背景が予想されますね。
④10年株価チャート
*StockCharts
2015年まで急激に株価が上昇していたのがわかると思います。それ以降は売り上げも伸びていたのですが、今後の方向性が見えないというのもあり株価が低迷していたのが分かります。EPSもマイナスに転落していたのもあり最高値から50%ほど最近までで下落していました。
⑤投資判断
単体で自分がアラガンに投資をする事は無かったと思います。何故ならば潤沢なキャッシュフローがありつつも次の一手が見えないから、そして有利子負債の額が大きい事が予想されるからです。
但し年間売上32億ドルのしわ取り薬「ボトックス」(売上全体の20%を占める)など消費者に身近な薬が人気がある会社なのは間違いなく、一部魅力的な医薬品を扱う会社であるという判断だと思います。
いつも銘柄分析でお世話になっている、Hiroさんはもっと詳細に分析されています。
アッヴィのアラガンの買収のメリットとリスク
今回の買収でいくつかのポイントがありますので、そのポイントをまとめてメリットとリスクをサマライズしていきたいと思います。メリットだけ見るのではなくリスクもしっかり確認してから投資判断するべきです。
投資をするときはメリットとリスクをしっかり考慮して自分の中でその中でストーリーを作っておくのは非常に大切です!(by たぱぞうさん)
メリット
1.スケールメリットの拡大。
今回の買収で米国2位・製薬業界4位のスケールメリットを得ることによって更なる売上拡大を見込めると考えます。また支店数が増えることによってのアラガンの医薬品を更に広範囲にセールスできるという強みも予想できます。
2.強みが違う2社が一緒になる事。
強みがある分野が異なる2社が一緒になりシナジー効果を出しやすいと考えられます。アッヴィはバイオ医薬品分野、アラガンは消費者よりの美容・ドライアイなどの分野でよりセクターを広範囲で占めることができると予想されます。
3.買収目的が節税ではなく純粋に企業の成長目的である事。
今回は節税目的ではなく、アッヴィの企業戦略としての買収である為に、米財務省から認められ、順調にこの買収が進むことが予想されるます。
ご存知の方もいらっしゃると思うのですが、アラガンを巡っては、競合大手ファイザー(PFE.N)が2016年に1600億ドルの買収案を撤回。それ以降、アラガンの株価は約50%値下がりしており、投資家の間から会社分割もしくは身売りを求める声が上がっていた。
4.潤沢なキャッシュフロー
買収に当たっての資金に関してアッヴィは先ほどのキャッシュフローの説明通り潤沢な資金を所有していて、財務的には問題ないと考えらます。売上がアッヴィより上位の競合他社と比べてもその潤沢なフリーキャッシュフローがわかると思います。
5.力強い経営からの収益向上のメッセージ
当然かもしれませんが、両社の買収手続き完了後の最初の1年の調整後1株利益が10%押し上げられると経営が宣言しています。そこまでは投資家は我慢してねということになりますが、将来に対しての明るい見通しともいえるかもしれません。
リスク
1.今回の買収にプレミアム45%が乗り、更にアラガンの有利子負債も抱える事。
プレミアムはアラガンの時価総額に対して更に45%を乗せて買収したということになります。更にアラガンは有利子負債を抱えていた為、実は総額8兆円近い費用がかかる買収になる事がわかっています。大きな財務負担になるのは間違いないですね。
2.利益率やEPSに関してアッヴィもアラガンも陰りがみられていた事。
先ほどの財務諸表で分かるように落ち込んでいたのは間違いないです。これは不安材料になりますね。
3.2020年まで買収完了の時間がかかる事。
ということは2020年までのの間に様々な情報が飛び交いおそらく株価が上下に変動しやすくなると思います。Volatilityが高くなると考えられるので投資家の心理的には非常に厳しい状況になるかもしれません。
4.ヒュミラに対するバイオシミラー後発薬の影響。
既に特許は切れていて、ヨーロッパではバイオシミラー後発薬が追い上げ中。2023年には米国でもバイオシミラー後発薬が販売予定で米国での売上減少が予想されます。その段階までに新たなブロックバスターもしくはヒュミラ以外の売上の柱を作り切れるかが勝負になります。
5.人員整理や設備縮小などで余剰コストを削減できるかどうか。
こちらは大きなリスクではないと思いますが、今回の買収で人員整理や設備縮小で余剰コストを削減できるかどうかは大切です。高収益企業である事がアッヴィの強みでもある為おそらく整理はしてくると思うのですが、これが上手くいかない場合は企業の屋台骨がぐらつく可能性があります。
投資判断する時はストーリーが大切!
まとめ
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