自動車業界で時価総額NO1のトヨタ自動車(7203)、そのトヨタ自動車が「本気」でEV車市場に挑戦していくことになりそうです。
今月22日から中国広州で初EV車になるレクサスを公開して、来春から中国・欧州・日本で初めてEV車を市販開始予定だという事です。2020年後半には日本国内外で10車種以上のEV車も市販計画しています。
【独自】トヨタの初EVはレクサス…来春投入 : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン
更に2人乗りの超小型EV車の販売も発表していますね。下記日経新聞You tubeで詳細が確認できます。
上記のトヨタ自動車の「本気」のEV車市場への参入。過去にEV車の説明会においては本気ではなく仕方なくといった説明もリアルにあったトヨタ自動車です。
トヨタ自動車が開催した「電気自動車の普及を目指して」説明会の意味をじっくりと考えてみた | EVsmartブログ
それは直近の自動車業界のニュースからわかるように自動車業界の厳しさが理由だと思います。日米欧の自動車メーカーの削減人員が7万人に到達していてリーマンショック並みだという事です。
上記はもちろん景気が弱いこともありますが、間違いなく米中貿易摩擦からくる欧州・米国の自動車事業への部品単価が上昇したのも原因だと思います。
今後において米中貿易摩擦の動向が読めない、更にトヨタ自動車の財務的な状況を考える場合に、トヨタ自動車がEV車市場へ「本気」で挑戦するのは自然な流れだと考えます。
EV市場の未来は中国が主戦場になりそうです。今回はそのトヨタ自動車がEV自動車市場へ参加する理由の考察、未来、戦略をご紹介したいと思います。
ではもみあげ米国株投資家の「トヨタ自動車(7203)がEV車を続々発表!「本気」でEV車市場へ参入理由とは?」をお楽しみください!
トヨタ自動車銘柄分析
トヨタ自動車(7203)
株価:7,826JPY
予想PER:10.15
配当率:2.81%
1937年8月28日創業。豊田自動織機を源流とするトヨタグループの中核企業で、ダイハツ工業と日野自動車の親会社、SUBARUの筆頭株主である。wikipedia
時価総額は20兆円以上で、自動車業界では唯一50位以内にランクイン、日本トップ
世界時価総額ランキング2019 ― World Stock Market Capitalization Ranking 2019
財務分析
売上・営業利益・営業利益率
*全て単位は百万JPY
営業CF・フリーCF
*全て単位は百万JPY
EPS・配当・配当性向
財務まとめ
・売上は右肩上がりで自動車業界では非常に優秀
・利益率は頑張ってるが伸び悩み
・キャッシュフローは設備投資に多額の費用が発生するため大きな余裕はない
・配当は日本企業では頑張ってる!配当性向も30%なので配当余力あり
チャート
1年間のチャートになります。途中落ち込みながらもこの1年間は上昇傾向にあるのがわかると思います。日経株式も上昇していますし、流石の安定性だとチャートをみるとわかります。
*Yahoo finance
セクター別・地域別売上利益
このデータは非常に重要です。トヨタ自動車の問題点と課題が浮き彫りになります。今回のEV車への本気参入はこの状況を改善するためにも必要なのがよくわかります。
セクター別売上・利益)
セクター別ですが、本業の自動車が利益率が伸び悩んでます。それに比べて金融が非常に利益率が高い。だから売り上げを上げていって、この利益率が高い金融で利益を確保する戦略なのが現在のトヨタ自動車の戦略ともいえるかもしれません。
地域別売上・利益)
地域別の売上で最大の問題点は最も売り上げが大きく今後も上昇が見込めるアメリカが利益率が1.1%しかないことだと思います。そして最も利益率が高いのが日本になってしまっている。
トヨタ自動車は皆が思ってるように海外で稼げる状況ではない。内需で稼ぐ企業なんですよね。可能性があるとしたらアジア、特に中国での売上を伸ばすのが海外で稼ぐ方法になってくる→これがEV車への本気参入につながってる気がします。
問題点
・自動車の利益率の低さを金融で補ってる→米国アラバマ新工場におけるパートナーであるマツダも金融サービスパートナーをトヨタに移行するみたいです。
小売業が金融サービスを行うと成功する:トヨタ、自動車ローンで驚異的高収益 | ビジネスジャーナル
自動車金融もMaaSシフト マツダ、トヨタと協業拡大 :日本経済新聞
・北米が最も売り上げが高いが1%しか利益がでてないので、北米を改善するか他の地域で利益を上げる体制を作らないと今後の成長力が疑問
→これが今回の電気自動車への挑戦に大きく関与してると思います。
EV車市場
挑戦の目的
自動車メーカーで最高益を誇るトヨタ自動車がEV車市場に挑戦する理由は先ほどの財務内容でも理解できるように、既存の自動車では成長限界が見えてきてしまっているからだと思います。
特に北米市場は最大の売り上げを誇るにも関わらず過剰な競争とさらに関税の影響をうけて利益をほとんど上げることができていません。
そのためにトヨタが「本気」で挑戦するEV車市場は中国を主戦場としています。EV車市場として成長が見込まれる市場です。また今の段階から参入しておかないと手遅れになる可能性も高いです。
EV車市場ボリューム
昨年世界で販売されたEVは210万台に上り、その6割を中国が占めた。中国が現在間違いなくEV車市場を牽引しています。
国際エネルギー機関(IEA)の推計によると、世界のEV販売台数は2030年までに2300万~4300万台になる見通し。予測の上限に達した場合、自動車販売に占めるEVの割合は中国で57%、欧州で26%、米国で8%になるという。
中国が完全に電気自動車の主戦場になることが予想されています。中国は国策として電気自動車に補助金をだして推進しているので、上記は間違いではないと考えます。石炭火力発電がメインの中国はEV車を産業のメインに据えたいからです。
2030年の自動車新車販売台数予測は全世界で約1億台位、そして電気自動車の新車販売台数は約2000万台となると考えられています。世界の販売台数の20%を占める可能性があり、この割合は更に増加すると見込まれています。
2021年にEVがHVの販売台数を上回る、電動車市場は4000万台に - MONOist(モノイスト)
自動車の将来動向:EVが今後の主流になりうるのか 第4章 | PwC Japanグループ
更に進んだ将来予測だと自動車販売台数の頭打ちも予想されています。これはまだ大分先なので、少し信ぴょう性が弱いですが、このあたりのデータも要注意ですね。
パートナー企業
トヨタ自動車は中国のEV市場に参入するにあたって、多くのパートナという仲間を囲い込んでいます。
トヨタのパートナー企業はテスラのバッテリーパートナーでもあるパナソニック、中国の大手バッテリーサプライヤーの寧徳時代新能源科技(CATL)、SUBARU(スバル)、スズキ自動車、デンソーなどがあります。
*WSJ
今回注目したいのは上記グラフでリチウムインバッテリー生産3位のBYDとの合弁会社設立です。正直パナソニック1社とだけリチウイオンバッテリーでは1位のCATLが複数の自動車メーカーと提携しているため生産量に不安がありました。
そこで中国企業のBYDとの合弁会社設立です。これによってリチウムバッテリーイオンの生産量を確保する体制をある程度整えられたことになります。
トヨタとBYD、2020年内にEV研究開発合弁会社を中国に設立 | レスポンス(Response.jp)
これは将来を見越したトヨタの本気の挑戦度がうかがい知れると思います。BYDが中国企業の為に中国政府との関係性を考慮しても非常に有効な選択じゃないでしょうか。 (補助金や税制の優遇措置が期待できる)
まとめ
いかがでしたか?「トヨタ自動車(7203)がEV車続々発表!「本気」でEV車市場へ参入理由とは?」を記事にしました。
トヨタ自動車(7203)が「本気」でEV車市場に参入する財務的理由・自動車市場の未来、そして中国でのEV車販売台数増加に向けての戦略をお伝えしました。
確かにパートナーとの提携でのEV車販売は少し弱気に見えるかと思います。もっと革新的な技術で成長はないのか?などの意見もありそうです。
しかしもみあげとしては中国という非常にビジネス環境として難しい場所において、中国企業と積極的に合弁会社を立ち上げるトヨタ自動車(7203)の戦略は逆に非常に緻密に計算された大胆な戦略とも感じました。
日本人のもみあげとして、そして日本の基幹産業の一つである自動車産業を牽引するトヨタ自動車には本当に頑張ってほしいし、応援したいです。
今回のトヨタ自動車(7203)の「本気」のEV車市場への挑戦が日本の未来を明るくする大きな希望になることを切に祈っています。
では皆さんのトヨタ自動車(7203)による明るい資産運用を願って!
*投資判断はあくまで自己責任で
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日本たばこ産業なども銘柄分析をしています。日本銘柄も魅力的な銘柄みつけていきたいですね!