米国通信業界分析記事になります。米国通信業界は果たしてどうなってるのか気になる米国株投資家も多いと思います。
米国通信インフラシリーズとしてAT&T,、ベライゾン、 コムキャスト、そしてスプリント・Tモバイルの合併も含めてその5社を個別で銘柄分析を行ってきました。もちろんその5銘柄のサマリーも再度お伝えします。
アメリカ駐在員かつ、アメリカ在住歴7年のもみあげから見るアメリカの通信インフラ状況の生情報も含めながら、米国通信業界全体の分析を行います。
やはりキーワードは5Gになってきそうです。但しそれ以外にも合併・M&A・コンテンツなども複雑に絡んでくることになります。
米国株投資家にとっても、アメリカ事情を知りたい皆さんにとっても有益な記事にできるように作ってあります。皆さんの理解が深まるお手伝いが出来たら幸いです。
ではもみあげ米国株投資家のブログお楽しみください!
*投資判断はあくまで自己責任で
米国通信インフラ企業のサマリー
日本の皆様に分かりやすく区別するとコムキャストがNTT、AT&TがNTT Docomo, ベライゾンがAU, Tモバイル&スプリントがSoftbank といったことになると思います。
サマリー
4社(5社)をリストで比較してみます。
これで各社の特徴が掴めるのではないでしょうか?コンテンツを所有してる企業にとっては話が複雑になるので、AT&Tやベライゾンに記載はしてないですが、ディズニー・ネットフリックス・アマゾンも競合となってしまいますね。
通信インフラにおいては寡占性の差が出やすいのですが、コンテンツ事業は多くの企業が進出してる事も原因となって、競合が多く存在することになっていまいます。それほど収益性が高く、事業として魅力的だと思います。
コンテンツ事業に各社が資本を注力してるために、既存のケーブルネットワークによる有料テレビの減少を促進させているのは間違いないです。ケーブルテレビが必要じゃなくなる位の充実したコンテンツが配信されるようになれば、それこそコムキャストなどは大ダメージを受けますよね。
とはいえ、忘れないで欲しいのはアメリカ人はスポーツが大好きだという事です。コンテンツ事業において海外のスポーツ配信は見かけますが、アメリカ国内のスポーツ配信は未だにテレビ局が絶対に手放していない事は忘れないでください。
インフラだけじゃない5Gが与える影響
ウォールストリートジャーナルの全米での5Gのテストにおいても触れられてるのですが、5Gが与える影響はインフラだけじゃないです。そもそもそれを接続するコネクション・ソフトウエア・そしてハード本体(PCとか携帯ね)などにも大きく影響を与えます。
例えばデータ量が多すぎて既存の携帯では、熱処理が追い付かなく発熱して携帯本体が使えなくなります。その課題をどうやってクリアしていくか。
そして上記のような課題をクリアできた企業は大きなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。その点も要注目ですね。
外資系ハードウェアメーカーのテクニカルセールスでもあるライナスさんが、この点に関しては非常に深く専門的に分析されています。是非とも目を通してみてください。5Gへの理解がより深まるはずです。
米国通信インフラ料金
米国の通信インフラですがモバイルとホームの料金に関してご説明したいと思います。
モバイル
こちらは日本とほぼ同じです。携帯購入費用はもちろん必要になります。その料金が月々の料金に含まれるという事は基本は無いです。別途通信費用を支払います。
通信費用基本料金にそれ以外の州税なども発生します。基本料金ではデータ通信料に制限があるかもしくは無制限になるかなども選択は可能です。
1年契約や2年契約など縛りも存在していますね。一番大きな違いといえば、インフレ率の上昇に合わせて契約年数にもよりますが基本料金は上がります。
ホーム(ケーブル使用料)
大きな違いが出るのはこちらになるでしょうか。ケーブルが使用できないと、自宅でテレビを見ることはできません。大体通常のケーブルで70チャンネルを楽しむ事ができます。そして追加料金を支払うことによって、チャンネル数が増える。これは日本でも似たような仕組みになっていますね。
一番の違いは、契約年数によって料金が日本では想像できない位上昇していくことなんです。例えばもみあげがコムキャストを初年度を$140で契約したときがありました。3年後の使用料金はなんと、$250になってたんです!約2倍近く。
大げさかもしれないですが、AT&Tで最低契約で$40で契約したとしても、同じ倍率の料金まで上がることになると思います。よってある程度金額が上がっていくと契約を変更したり、契約会社を変更するのが一般的なのがアメリカだとおもいます。
3年で倍近くは固まった・・・
通信料金の裏事情
米国通信料金の状況は違いは説明いたしました。では裏事情はどんなことがあるかというと、アメリカ人は契約年数が終わると直ぐにプランや他社へ組み換えをします。
要するに契約をそのまま放置しておくと、料金がどんどん上昇していってしまうので、他社のプランに乗り換えを頻繁に行うと考えてもらえばいいと思います。
例えばコムキャストの利用料金が上がり過ぎてしまった場合は、一度AT&Tに乗り換えてAT&Tを利用する。そしてその後再度コムキャストと契約し直すなどです。
ただそれを選択するとしても、コムキャストもAT&Tも利用できる地域ではなくてはいけないので、通信インフラの範囲や回線の強さが最終的には消費者の選択を左右してしまうんですよね。
下記記事の中でも書きましたが、コムキャストが現在のケーブル事業におけるホーム通信インフラの「EVIL」なのはその利点を生かして暴利な利用料を消費者からむさぼってるからなんですよね・・・
5Gの重要性
ここまでお話をしてきたら想像がしやすいのではないでしょうか。5Gが如何に重要であるかがわかってきたと思います。
コンテンツが充実すればするほど、大容量のデータ通信が必要になる。そして日本の25倍の広さがある国土に配信をする為にはインフラに莫大な資本力が必要となる。
よって現在はコンテンツ事業は大都市を除いてどうしてもホーム通信インフラ、ケーブル会社のコムキャストやAT&Tに頼らざるを得ないんです。
もし5Gがそれをカバーする範囲で料金もケーブルによるホーム通信インフラと遜色ない状況になったらどうなるでしょう?
ケーブル利用者を一気にモバイル利用者に変更させることが可能になると思いませんか?とはいえ各テレビ局もスポーツチャンネルとかの利権は渡さないように、必死に利権を守るとは思いますが。
5Gのスピードを体験できる記事がこちらです。どれほどのスピードか体験してみてください。これが導入されたら確かに劇的に通信環境は変わる事は想像がつきます。
www.wsj.com
米国通信インフラ企業まとめ
最後にもう一度米国通信インフラの状況をまとめておきます。そして通信インフラ各社の今後の企業戦略に関してももみあげなりに予想してみます。
【T】AT&T
モバイル料金 : 高い・通信回線普通
ホーム料金 : 安い・通信回線普通
ホーム・モバイル通信インフラを所有。コンテンツ事業にもタイムワーナー買収で注力。ただし1位の分野がない、どの分野も平均的といった状況。ということは逆にどの分野にも注力はしやすい。債務が世界1位の$1800億存在してる。
今後に関しては状況を見ながら常に業界の2番手を狙っていくのではないでしょうか。冒険はしない。安定至高であることも経営陣の方針から見て取れます。但し、Tモバイルとスプリントが一気に伸びた場合は、その2番手の地位が脅かされる可能性あり。
【VZ】ベライゾン
モバイル料金 : 高い・電波強い
モバイル通信インフラを所有。モバイル業界NO1、5G分野でも他社と比較して先行しています。一番の懸念点はモバイル通信の5Gが実用化するまでに予想年数以上を必要とした場合、そして5Gの期待値を実現できなかった場合です。
これが発生してしまうと、収益性が一気に落ち込むことが予想されます。よってベライゾンはとにかく5Gに集中していくと思います。下記記事の様に5Gに必要なアンテナ1つが狭い範囲しかカバーできない場合、店舗数を広範囲でカバーしている企業とタッグを組む可能性だってあるかもしれませんよね。
積極的に5G導入の宣伝を流しています。ミネアポリス・シカゴに続いて、デトロイト・アトランタ・インディアナポリスでも導入ということです。但しこれはあくまでも本当に局所的かつ実用レベルではないので、ご注意ください。
More ultra-fast speeds and more capacity in more cities. Our #5GUltraWideband is now live in select areas of D.C., Detroit, Atlanta & Indianapolis.
— Verizon (@verizon) July 30, 2019
【TMUS】Tモバイル・【S】スプリント
モバイル料金 : 安い・通信回線弱い(都市部は強い)
合併がとにかく必須です。現在の単体での資本力とカバー範囲では、5Gが導入されても上位2社には勝てないと思います。合併して潤沢な資本力を併せ持ち、更に現在の強みになっている都市部での価格競争に優れた料金によって利用者のパイを増やしていくのが先決だと思います。
都市部での利用者獲得に伴って、全米中への通信インフラ網を5G導入に合わせて一気に拡大していくのを戦略として考えてると思っています。コンテンツに関しては恐らく買収戦略を利用していくかと。
【CMCSA】コムキャスト
ホーム料金 : バカ高い・通信回線強い
ホーム通信インフラの圧倒的な強みを活かして今までは「EVIL」でしたが、もし5Gが導入されてはそうもいかなくなる可能性がありますね。だからこそコンテンツ事業であるSKYを買収して、コンテンツ事業にも資本を入れ出したんだと思います。
2-3年の期間であれば、ホーム通信インフラのケーブル事業の回線の強さによるデータ通信量のキャパシティを活かして、コンテンツ事業対応のプラットフォーム構築で収益を伸ばす可能性があると思います。
ただし5Gがそれを必要としなくなるレベルまで普及した場合は一気に企業自体が傾く可能性があるので、この2-3年の間に更に5G対策の経営判断が欲しい所です。
まとめ
いかがだったでしょうか?複雑に絡み合った米国通信業界の状況をシリーズでお伝えしてきました。なにか疑問点がでるようでしたら下記リストを是非とも使っていただけるとありがたいです。
今後のキーワードとしては下記3つを注目してください。
第一優先 5Gが全てを変える可能性。どこが5Gを有効に活用できるか!
第二優先 Tモバイルとスプリントの合併によって、3社競合状態になるか!
第三優先 コンテンツ事業に対しての各社の取り組みがどのように進むか!
今回の記事が皆様の米国通信業界の理解を深めたらありがたいですし、米国株投資家にとって銘柄分析の役に立つことを心から願っています。
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