【TMUS】Tモバイルと【S】スプリント銘柄分析を行っていきたいと思います。この2社の合併が承認されたことによって、アメリカの通信セクターに変化が起ころうとしてるのは間違いないです。
スプリントは孫正義さんが率いる孫正義グループが2013年に216億ドルで買収して、78%の株式を所有していることからも有名ですよね。
直近では新たな動きとしてTモバイルとスプリントの合併、FCCが採決へ向かうようにFCC委員長が委員に勧告したというニュースが入ってきました。いよいよ合併実現に向けてあわただしくなってきましたね。
また今回はAT&T, Verizon, Comcast、Tモバイル、スプリントの5社を個別で銘柄分析を行っていき、最終的にはアメリカの通信インフラ状況の生情報をお伝えしたいと考えています。
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Tモバイル、スプリントの銘柄分析を行う理由としては現在通信インフラで2強状態になっているAT&TとVerizonに関して今後本当にこの2社の合併が実現したら脅威になるのか、そして今後通信インフラ業界がどう変わる可能性があるのかを理解するために必要だと思ったからです。
*投資判断はあくまで自己責任で
Tモバイル・ スプリント銘柄判断
【TMUS】Tモバイル
主要株主はドイツテレコム。74%の株主。2018年9月時点の加入者は米国で7400万人。米国第3位→2019年7月時点で加入者が8310万人
ベライゾンやAT&Tより安い料金での消費者への提供によって、特に都市部において利用者を拡大してきている。
【S】スプリント
実は既にソフトバンクグループの孫さんがこの会社においては、既に料金を値上げしない限りは単体でのサービス提供はもうできないと主張していたんです。財務やチャートを見ればわかるのですが非常に厳しい状況に追い込まれています。
Tモバイル・スプリントの財務・チャート分析
世界最大規模の通信ネットワークインフラ企業といえるベライゾンのまずは財務とチャート分析を行っていきます。
【TMUS】T-mobile
予想PER : 18.96
配当率 : 配当無し
連続増配 : 無し
本社 : ワシントン州 ベルビュー
主要株主はドイツテレコム。74%の株主。2018年9月時点の加入者は米国で7400万人。米国第3位→2019年7月時点で加入者が8310万人
【S】Sprint
予想PER : データ無し
配当率 : 配当無し
連続増配 : 無し
本社 : カンザス州オーバーランドパーク
2013年ソフトバンクグループが216億ドルで買収。80.1%の株主。2019年7月時点の加入者は米国で5300万人。米国第4位→2019年7月時点で加入者が5450万人
財務分析
*単位は全てUSD Millon
売上・営業利益・利益率)
【TMUS】Tモバイル
正に成長企業という曲線を描いてると思います。売上を積み上げていってますね。営業利益も一時下がりましたが、2014年から営業利益率も上昇しています。
【S】スプリント
逆にスプリントは非常に不安定な状況です。この10年間売り上げがほぼ横ばいなのは懸念材料ですね。営業利益も何とか7%だと、他のモバイル会社と比べても非常に低いです。ベライゾン20%、AT&T 15%、T-MOBILE 12%
キャッシュフロー)
【TMUS】Tモバイル
営業キャッシュフローが落ちていますね。更にフリーキャッシュフローもマイナスです。売上は上がっていますが、キャッシュを無理してる状況だという事が伺いしれます。営業キャッシュフローが落ちて、フリーキャッシュフローがマイナスだと、設備投資への余力が無くなる懸念を抱きますね。
【S】スプリント
スプリントは逆に営業キャッシュフローは2015年から上がってはいます。但しフリーキャッシュフローはマイナスですね。キャッシュの状況を見ると、売上が横ばいなのにキャッシュだけを得ているのは、ソフトバンクからの資本金が営業キャッシュフローだと考えていいかと思います。
EPS・配当・配当性向)
【TMUS】Tモバイル
2018年のEPSだけ見るとベライゾンには劣るが、AT&Tには勝っています。
【S】スプリント
EPSは非常に厳しい状態だといえますね。1株辺りの利益が2017年以外は出ていない、10年近くの間利益がない状態で経営してきてることになります。
チャート分析
【TMUS】Tモバイル
キャッシュを無理はしている状況ですが、売り上げを順調に上げつつ、EPSも上がってきているのでそれが株価に反映されていますね。ただ少し伸び悩んでるのは、キャッシュに余力が無くなってきて、売り上げの伸び率が鈍化することが懸念されているとも考えられます。
*StockCharts
【S】スプリント
売上もキャッシュも停滞してることがよく見て取れるチャートですね。配当も出していない状況で、このチャートだと既に成長はできないとマーケットから判断されてると思います。
*StockCharts
財務・チャート分析まとめ
Tモバイルは売上が順調に成長してきたが、ここに来て少し陰りが見えてきた状態かもしれない、そしてキャッシュに少し余力が無くなってきた。スプリントは逆に成長が10年前からほとんど停滞している、但しソフトバンクからの資本流入があるのでキャッシュはまだある。
と考えると両者が合併を選ぶのは自然かつ両者にとって、マーケットで成長を継続する生き残るために最善の手だと考えてもいいかもしれません。両者にとって渡りに船なのかもしれませんね。
合併に関しては、また広瀬さんのこの記事が的確に分析されていると思います。但し2014年の記事なので負債額よりは、この合併で一番の問題点は未だに4G分野では後れをとってる2社が設備投資を更に必要になる事だと思います。そして低金利を狙った戦略だったのも間違いないですね。
Tモバイル・スプリント銘柄分析まとめ
Tモバイル・スプリントの銘柄分析記事まとめになります。この2社に関しては合併が達成するかどうかによって全てが変わってしまいそうだという印象です。合併ができないなら正直2社ともベライゾンとAT&Tの脅威にはなりえません。むしろ今から状況を覆すことも厳しく、下手したらどちらかの会社に食われる可能性だって十分あり得ます。
合併に関して
米司法省は下記2記事にあるようにTモバイル・スプリントの合併を条件付きで承認しました。但し記事内にもあるようにまだ問題が残っています。
それが13州による合併に反対してる為です。アンチトラスト法に抵触するということですね。マーケットにおける正常な競争原理が働かなくなるという事です。
2019年末まで合併のプロセスは終わる可能性があるということですが、果たしてどうなるか。おそらくは合併は完全に承認されるだろうとみていますが、もし最終的に却下された場合はソフトバンクグループは大きな負債をのれんに計上しなければならなくなるので、一気に資金繰りに厳しくなってしまいますね。
合併後
1位 ベライゾン 35.6% 1億6300万人
2位 AT&T 33.2% 1億5200万人
3位 Tモバイル・スプリント 30% 1億3760万人
4位 その他 1.2%
合併後の電波のカバーエリアですが、下記の様な現在の携帯の電波カバーエリアがTモバイル・スプリントが合併することによって、ほとんど上位2社に遜色なくなるようには見えますね。
アメリカの携帯会社・通信キャリア事情をプロがわかりやすく解説! | アメスマ
ただこれはもみあげがアメリカに駐在してて思う事なのですが、正直な所T-mobileとSprintは都市部では上位2社に現在でも遜色は無いですが、郊外に行けば行くほど、人口密度が低い土地に行けば行くほど電波がほとんど使えなくなるイメージです。
そしてアメリカは日本の国土の25倍です。ソフトバンクがNTTとAUに対抗するのとは規模感が全く違うと考えていいと思います。
よって合併後はスケールメリットを活かしてとにかく5Gの実用化に対して資本を集中して、特に都市部に関しての強みを活かしてベライゾンとAT&Tに対抗することが一番の戦略と考えてると思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?Tモバイル・スプリントの銘柄分析を今回は行いました。おそらく米国株投資家でも単体でこの銘柄を保有している人は中々いないと思います。
ただ今回の合併が実現された場合は全く別の状況が生まれる可能性があります。それでも設備投資に莫大なキャッシュが必要となるし、上記説明の中で上位2社の牙城を崩すには5Gという劇的にマーケットの状況が変化するきっかけが非常に大切な事が分かったと思います。
スプリントのバックにはソフトバンクがついています。ソフトバンクはビジョンファンドを所有しています。孫さんがこの合併を単純にファンドのマネーとしての利益を出すためだけに利用するのか、もしくは米国通信インフラの覇権をとるための野望をもって実施するのかにも要注目だと思っています。
*投資判断はあくまで自己責任で
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