「2019年9月23日:情報更新」
今回は米国ヘルスケア業界分析を行っていきます。米国医療費は世界1の330兆円、更に世界の医療費の支出の50%を北米が占めてるんです。
米国ヘルスケア業界って日本からはどのようになってるか想像が付かないですよね。理由としては米国と日本は医療制度が全く違うからというのが一番大きいと思います。更に米国ヘルスケア業界の構造は非常に複雑です。
米国株投資家として非常に人気があるジョンソンエンドジョンソン、ファイザー、アッヴィなどを所有していても全体の仕組みは想像できない方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?
だからアメリカで生活していたらどう考えるか、現地の生情報としてどうなってるか説明があったら少しでも理解が深まるんじゃないかと思いました。
アメリカで7年間過ごして、自分なりに業界の研究をしてきたのである程度はイメージ化できると思いますのでこのブログが皆様の投資判断に役立ったらいいなという思いを込めて記事にしていきたいと思います。
ではもみあげ米国株投資家の「米国ヘルスケア業界分析 米国医療費は世界1!業界構造を多角的に分析」記事をお楽しみください!
*間違いがあったら指摘してください。素人の勉強なので大歓迎です!
*投資は自己責任です。あくまで参考にでお願いします。
- 6キーワードと今後注目3ポイント
- 米国ヘルスケア業界の重要性
- 米国ヘルスケア業界分析
- ここまでのおさらい
- 【JNJ】ジョンソン・エンド・ジョンソン
- Medicare for All
- 【AMZN】アマゾン
- 医療マリファナ
- ヘルスケアセクター今後注目3ポイント
- まとめ
6キーワードと今後注目3ポイント
米国ヘルスケア業界って日本からはどのようになってるか想像が付かないですよね?6キーワードと今後注目3ポイントが大切です。
6キーワード
・米国ヘルスケア業界は何故重要なのか
・薬局はあるの?CVSとWBAは何が違う
・ジョンソンエンドジョンソンの最強ワイドモート
・Medicare for Allで何がかわるか
・アマゾンの影響度は何があるか
・マリファナは医療に関係あるか
今後注目3ポイント
・M&Aによる製薬分野の勢力図再編
・政策変更・Medicare for Allの導入
・アマゾンのPBM分野への参入
米国ヘルスケア業界の重要性
米国ヘルスケア
米国ヘルスケア業界は複雑に利権が絡み合っています。アメリカほどヘルスケアにお金がかかる国はありません。日本みたいに国民医療保険がないために高額の医療費がかかるからです。*1回の手術で〇百万かかるという話は冗談ではないです。
よって民主党が提案してる”Medicare for All”がインパクトがあるんです。民主党は選挙でこういった過激な政策を票集めで利用しますね。要するに国民総医療保険制度を導入しましょうが”Medicare for all” です。
医薬品に関して日本よりはるかに規制が緩く、日々各企業が開発でしのぎを削り、巨額なお金が動きます。更にヘルスケア関連で眼科や歯科も非常に高額です。
よってヘルスケアはアメリカ人はヘルスケアサプライチェーンで医薬品を購入して自分で行っていくのが主流だと考えてください。
米国の医療市場規模
世界における医薬品市場規模において北米だけでなんと50%を占める!!
*JETRO
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2018/2d86e22aeac9d7dd/rp_us.pdf
米国医療費は世界1
人口が日本の3倍だが、医療費の支出は8倍という米国の市場規模の大きさがが良くわかる資料になっています。なんと医療費の支出が総額で日本円で330兆円です!とんでもない規模ということがわかります。
米国は先進国の中で最も医療費が高額な国です!
*JETRO
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2017/0c5ab803745c687d/na-mdeicalrp201703.pdf
米国ヘルスケアニーズ
米国はなんでヘルスケアがそんなに必要なの?生活病の多さを考えるだけで理解できると思います。肥満や過体重は糖尿病や心臓や血管の病気を併発させます。糖尿病のデータとしては下記になります。
肥満や過体重は、2型糖尿病の要因となる。米疾病管理予防センター(CDC)が公表した「全米糖尿病ファクトシート2011(National Diabetes Fact Sheet for 2011)」によると、米国人の2600万人近くが糖尿病で、7900万人が糖尿病予備群(pre-diabete)だという。
「アメリカはこのままでは肥満で沈む」 米国で食事の新ガイドライン | 最近の関連情報・ニュース | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会
人口3億人超の米国のおよそ1/3以上が糖尿病リスクを持っている恐ろしい国です。
肥満体国の順位はこちらのサイトがまとめてくださっています。ナウルという小国になりますね。アメリカは12位です。但し人口が1億以上で考えるとダントツですね。
アメリカが世界で最も肥満率が高い国って本当?原因は? | カリフブログ
事実自分の事務所の米国人の半分が糖尿病+糖尿病予備軍です。これだけでも米国ヘルスケアの重要性がわかると思います。
アメリカ人のヘルスケア意識
上記状況もあってオーガニック商品が都市部などでは特に人気があります。ホールフーズマーケットなどは特にオーガニック商品の取り扱いが多く、都市部では多く見かける事ができます。(日本の紀伊国屋・いかりスーパーみたいなイメージ)
また定期的に検診にもアメリカ人は通います。特に50歳を超えた高齢者は月1は自分の健康状態をかかりつけの病院でチェックしていることが多いみたいですね。アメリカではシックリーブ(Sick Leave)といって通院休日が認められてる企業もあります。
米国ヘルスケア業界分析
では本題の米国ヘルスケア業界の関係性をあらゆる角度から分析します。
米国ヘルスケア業界のセクション分布
それでは米国ヘルスケア部門のセクション分布図を見てみましょう。 下記がセクターのヒートマップになります
非常に複雑で多数のセクションがあるのがわかると思います。上記マップだと何がどう絡んでるのか、どういう構造になってるかは理解しずらいと思います。
次に各部門トップ何社かに絞りこんで、ヘルスケアセクターのセクション分析をしていきたいと思います。
セクション分析
どの会社がどのセクションを所有しているかがわかるようにしました。ヘッダーの説明を補足していきます。
・製薬バイオ : バイオ科学での先進的医療に用いられる薬品の総称
・製薬Gene : Generic薬品。新薬の特許切れによる安価な薬品の総称
・製薬ヘルス : 一般的な風邪薬や解熱剤
・その他ヘルス : バンドエイドなどの医薬品になります
・医療機器 : 注射器・バイパスなどの医療用機器になります
・PBM : 処方箋を所有する仲買卸業者
・保険 : 民間の医療保険企業
・卸売り : 医療品卸売り仲介業者
・医薬品サプライチェーン : 2種類あります。いわゆる皆様が想像する薬局と一般的な薬をうる小売店になります。基本は別々の店舗ではなく同じ店舗内にあります。 但しAMZNは限られた処方箋薬品しかまだ取り扱えません。
次に各セクションの代表的な企業と特徴です。
各セクションの代表的な企業と特徴
*下記区分けですが、ヒートマップ上での区分けに基づいたものになります。製薬のバイオと新薬の医療的な区分けに関しては、各自解釈をお願いいたします。
・製薬(バイオ)
AMGN・GILDが代表的な企業になります。販売先は主に病院ですね。ブロックバスターでのバイオ薬品が大きな利益を生み出します。但しバイオ薬品での開発が滞るなどのリスクはあります。
・製薬(新薬)
JNJ・MRK・PFE・ABBVが代表的な企業になります。いわゆるブロックバスターを開発して特許を取得することにより莫大な利益を生むことができるのがこのセクションの特徴です。
また製薬に関して非常に大切なポイントとして、この分野はどの企業もM&Aを繰り返して巨大化してきた歴史があります。よって頻繁にM&Aが発生するということを覚えておいてください。
・製薬(Generic)
新薬企業が特許切れに伴って、Generic薬品を開発していくセクションになります。
・製薬(ヘルス)
主にジョンソンエンドジョンソン(JNJ)になります。一般薬品の風邪薬や解熱剤になります。販売量もアメリカでは多いので利益率は低いが売上的には大きいです。
・製薬(マリファナ)
アルトリア(MO)になります。まだ製薬としては影響は少ないですが、今後非常に気になる存在です。詳細は後ほど買収記事は下記情報を参照願います。
・その他ヘルスケア
ヘルケア製品部門になります。代表的な企業はジョンソンエンドジョンソンになります。またそれ以外にもベンチャー企業などが参入していますね。JNJはバンドエイドなどが有名ですね。
・医療機器
代表的な企業はBDX・MDT・ABT、そしてジョンソンエンドジョンソンになります(3Mも扱いあり)。ABTはGeneric薬品も取り扱っています。アッヴィはABTから分離して新薬開発に特化した企業になります。
・PBM(Pharmacy Benefit Manager)
代表的な企業はユナイテッドヘルス(UNH)・CVS・HUMになります。処方箋を必要とする薬品の仲介ビジネスセクションです。代表的な企業の寡占的ビジネス状況になります。なぜそうなるかは後ほど詳細を説明します。
・保険
代表的な企業はユナイテッドヘルス(UNH)・CVS・ANTM・HUMになります。こちらも代表的な企業の寡占ビジネス状況になります。なぜそうなるかはPBMと絡めて後ほど説明します。
・卸売り仲介業者
処方箋薬は【CAH】カーディナル・【ABC】アメリソースバーゲン・【MKC】マッケソン、それ以外は【WBA】ウォールグリーン・ブーツ・アライアンスです。
・サプライチェーン(薬局)
代表的な企業はWBA・CVS・WMTになります。アマゾンも制限はありますが取り扱っています。こちらは処方箋を必要としてる小売りで取り扱える品数も小売店によって違ってきます。
・サプライチェーン(ヘルスケア)
代表的な企業はWBA・CVS・ウォールマート・アマゾンになります。一般的な薬品とヘルスケア商品を取り扱う小売になります。
米国ヘルスケアの関連性MAP
米国ヘルスケアの関連性MAPです。上流から消費者までの流れにしてあります。
特に重要とされる6箇所に番号を振っています。
①ヘルスケア製品と市販薬品ヘルスケアの流れ
卸売り仲介(WBA)を通すこともありますが、ジョンソンエンドジョンソンは独自のルートを持ち、仲介手数料をとらず販売拡散できます。
②製薬の新薬とGenericの流れ
どちらも処方箋が必要となるので、PBMを通すか、直接薬局や病院に収めるか(一部直接消費者もあると思います。)
③PBMと保険会社の共生関係
ユナイテッドヘルスとCVS両者とも両セクションを所有しています。
なぜならば保険会社的には支払う保険料の高騰を抑えるために、製薬会社からの薬品価格を安くしたい。PBMもできるだけ製薬会社の薬品を販売拡大の為に取り扱いたい。Win-Winなんです。
製薬会社は処方箋の取り扱ってる量が大きいPBMを頼る方が販売拡大を行える。特にGeneric薬品に影響が大きいです。この関係があるために、PBMの立ち位置が非常に重要になるんです。
そのシナジー効果が大きいのでPBMも保険会社も大手3・4社がほぼ寡占市場状態で独占しています。PBMの詳しい仕組みは下記ブログが分かりやすいです。
④PBMと卸売り仲介業者との違い
PBMは処方箋を販売可能です。卸売り仲介業者は一般薬品と処方箋薬品を販売する業者になります。更に卸売り仲介業者は市販薬や医療用品を扱う業者と処方箋薬を扱う業者で分かれています。
PBMは薬品自体の販売売上と処方箋の販売売上を上げれる事になります。となると卸売り仲介業者はできるだけスケールメリットを活かしてPBMの売り上げに対抗するしかありません。
だからWBAは医療品サプライチェーンと卸売り仲介、それに対してCVSはPBM&保険&サプライチェーンの総合力で売上を競っています。
上記ビジネスに参入できるのが圧倒的な店舗力を持つウォールマート(WMT)そしてE-commerceでダントツのアマゾン(AMZN)である事がお分かりいただけると思います。
更に卸売り仲介業者の処方箋薬品を扱う業者3社の【CAH】カーディナルはCVS、【ABC】アメリソースバーゲンはWBA、【MCK】マッケソンはWMTと協力関係や株式共有などの提携を結んでいる点も実は非常に重要ですね。
⑤アメリカには日本的な調剤薬局が存在しない
CVS・WBAそしてウォールマートやアマゾンでも調剤薬品と一般薬品を取り扱っています。もちろんウォールマートはCVS・WBAより扱っている薬品数は少ないですし、アマゾンもまだ一部取り扱いのみです。
⑥マリファナが既存製薬会社の利権を脅かす
こちらは後ほど詳しく説明しますが、マリファナが医療目的で認知され、更に合法化されれば、既存製薬会社を脅かす可能性もありえます。
米国ヘルスケア業界分析まとめ
米国ヘルスケア業界を分析するときは他のセクターでもそうですが特に多角的に複雑に絡み合った関係性を想像しながら銘柄分析をして投資判断をした方がいいです。
ここまで複雑に絡みあってるにも関わらず、新薬の開発成功や革新的なバイオ薬品開発に関してもM&Aの可能性がある為、どの企業が生き残るかも不明点があります。全体観から投資判断をした方が賢明です。
特にアメリカは高額医療費が常に問題に上がるので、セクター内で一部セクションが上昇してもその代替として他のセクションが株価が下がる事があり得ます。
ここまでのおさらい
先ほどまでのお話で6キーワード中上記2つは全体がつかめたと思います。
・米国ヘルスケア業界は何故重要なのか
・薬局はあるの?CVSとWBAは何が違う
・ジョンソンエンドジョンソン株価は何故強いか
・Medicare for Allで何がかわるか
・アマゾンの影響度は何があるか
・マリファナは医療に関係あるか
ここからは残り4つを分析していきます。
【JNJ】ジョンソン・エンド・ジョンソン
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は総合ヘルスケア企業です。
どうしてJNJは多少の事でも揺るがない堅実的な事業性をもってるのでしょう?先ほどの相関図でJNJが所有してるセクターを色付けしてみました。
総合ヘルスケア企業ジョンソンエンドジョンソン
JNJが所有しているセクションを緑の四角で囲みました。ご覧になったら分かるように7セクションを所有しています。
他社では真似できないワイドモートを築きあげています。投資家的にいえばJNJを所有すればほぼすべてのヘルスケアをカバーしたことになるです。
ジョンソンジョンソンのリスク
これ以降のキーワードにも絡んできますが、JNJは訴訟リスクを大量に抱えています。
ベビーパウダーだけで1万3千件あるとのことです。相当なリスクになるのですが、前回のベビーパウダー事件があった際も、自社株買いを実施、SNSやメディアを通じてブランドイメージ回復に早急に努めるなど、経営陣の判断スピードが抜群に速いです。
直近1年間のチャートを見てみましょう。回復のスピードが異常に速いのがよく理解できると思います。
12月14日にベビーパウダー問題が発生して、12月の暴落を通り越し何食わぬ顔で株価が上昇しています。正直JNJ強すぎます・・・・
*StockCharts
2019年5月29日には今度はオピオイドの訴訟問題が発生しています。株価は6%近く下落しています。米国医療業界全体を揺さぶる大きな問題になっています。
この5月からチャートを見てみましょう。回復の強さがわかると思います。高額医療費問題が政策で重要視されがちなので、直近は株価が抑えられていますが、下がってからの回復は目を見張るものがありますね。
リスクまとめ)
総括すると訴訟リスクがジョンソンエンドジョンソンにとっては最も大きなものになると思います。訴訟が一斉に本格化して、企業の屋台骨を揺るがすほどの大量の賠償金が発生したら本格的に危険な状態になる可能性がある事は覚えておいた方がいいです。
ただしそれと同時にリスクを解消するための、ジョンソンエンドジョンソンの対応スピードの速さも注目してください。経営陣がもし交代してその経営判断のスピードが衰えた場合も大きなリスクになりそうですね。
Medicare for All
Medicare for Allとは?
簡潔にまとめると日本と同じように国民総医療保険制度をアメリカに導入する政策になります。そしてそれに伴って処方箋販売のPBM事業を撤廃するです。
もしMedicare for all が導入されたら米国ヘルスケアは下記の様になります。
保険とPBMがほぼ壊滅することになりますね。Medicare For Allは既存保険会社とPBMを悪として、その分野を国の管理下において運営しようとする法案ともいえます。
この提案がされた時の、保険とPBMで業界トップのユナイテッドヘルス(UNH)の株価チャートを確認してみましょう。4月10日以降にガクンと株価が落ち込んでいます。
UNH)
*StockCharts
今後の展開予想
非常に判断が難しいです。ユナイテッドヘルス(UNH)の決算は非常に良かったですが、政治事情が絡んでしまっているので予想を付けずらいですが、Medicare for Allを行う場合は莫大な予算が必要となるので現実的には実現出来ないと推測しています。
【AMZN】アマゾン
アマゾンの戦略予想
*戦略予想の第二段階移行はかなりもみあげの拡大解釈がはいってます。ご容赦を
アマゾンはピルパックという処方箋企業を買収して処方箋販売業界に参入してきています。下記記事が非常にうまくまとめてくださっています。
そしてこの戦略を先ほどの相関図で表すと下記になります。
第一段階(黄色円がアマゾンの勢力図)
この段階ではPBMと卸売り仲介の勢力図を塗り替えるだけです。ただしこの中流の重要ポイントを確保するということは下流に対して大きな影響力をもち、消費者のニーズを取り入れることが容易になります。また抜群の物流スキームとマーケティン能力を持つために、価格破壊も可能になってくるはずです。
現実的にこの第一段階はPBMだけではなさそうです。処方箋薬品の流通を独占してきた3社【MKC】【CBH】【ABC】がオピオイド訴訟で影響を受け、アマゾンによって市場シェアを奪われる可能性も取りざたされています。
第二段階(茶色点線の囲み)
PBMの分野が拡大します。この段階になると、サプライチェーン店が食われ始めます。PBM*卸売り仲介を持つためにサプライチェーンの販売拡大のスピードがアマゾンのスピードに追い付かなくなるはずです。更にPBMを持つということは保険会社や製薬会社にも強い影響力を及ぼしだします。
第三段階(赤い点線囲み)
この段階になると、アマゾンの強みであるAWS(クラウドサービス)を最大限に発揮してヘルスケアセクター全体をコントロール可能な状況になり得ます。クラウドサービスで国民一人一人のデータから最適な医療処理を判断全てのセクションとリンクさせるということが可能になります。アマゾン一つで全ての最適な医療を受容できるのですから・・・
株価チャートでのアマゾンの影響力
事実ここまでのストーリーを恐れたためにCVSやWBAはアマゾンの2018年1月30日の新しいヘルスケア会社を作るという公式発表から株価が1時期上昇することがあっても、その報道前の株価には戻し切れていません。(もちろん他の要素もありますが)
WBA)
CVS)
*StockCharts
今後の展開予想
正直わかりません。というかわかるならアマゾンを購入しますし、ヘルスケアも更に購入すると思います。ただもし第三段階まで到達した場合は、医療支出の330兆円の少なくとも半分をアマゾンが売上とすることができてしまう。
独占禁止法に抵触しますし、もちろんアメリカへの政治力への影響が強すぎるので、政府自体がストップをかけてくるんじゃないかと予想します。現実的には第一段階までと考えていいと思います。
アマゾンの可能性は本当に怖い
医療マリファナ
マリファナビジネス状況
マリファナ関連は既存製薬会社と複雑に利権が絡みます。先ほどの⑥の相関図で分かるように、今までマリファナは医療素材として利用されてない新分野ということは既存の素材で製造された医薬品を脅かす可能性があります。
【MO】アルトリアのクロノス買収
【MO】アルトリアはアメリカを中心としたタバコ販売の大手企業です。そのアルトリアが今後の企業戦略としてマリファナに目を向けてクロノスを買収しました。
クロノス・グループはカナダの医療用大麻事業会社。医療目的大麻規制(MMPR)に基づき、カナダ保健省が発行した医療用大麻生産ライセンスを所有または申請する企業への投資を中心に事業を行う。また、子会社を通じ、大麻油の栽培や医療用大麻の生産および販売にも従事する。本社所在地はトロント。
(Yahoo!ファイナンスより引用)
アルトリアがクロノスを買収した際の株価チャートを確認してみましょう。マリファナが利益を生み出すかマーケットが懐疑的であることがよくわかると思います。
2018年12月初頭にCronos Groupの買収のニュースがありましたが、株価はほとんどあがっていませんね。
*StockCharts
今後の展開予想
マリファナが今後のビジネスで成長性があると噂されますが、ヘルスケアからの波及効果と予想します。こちらが認知されて初めて嗜好品などに急激に広がると思います。
但し既存製薬会社との利権争いが発生するのでこちらも超えなくてはいけないハードルが沢山あるはずです。更に最近カナダのマリファナ会社の売上が期待値の4分の1というニュースもありました。まだまだ課題が多いようです。
ヘルスケアセクター今後注目3ポイント
これまでの分析を総括した際に注目したいポイントとしては、個別企業ではそれぞれ課題がありますが全体としては下記3ポイントは絶対にトレースしたほうがいいと考えています。
・M&Aによる製薬分野の勢力図再編
・政策変更・Medicare for Allの導入
・アマゾンのPBM分野への参入
この3ポイントがどちらかでも実施されればヘルスケアセクターの勢力図が一気に変わってしまう可能性がありますので、要注意です。
まとめ
いかがでったでしょうか?米国ヘルスケア業界分析 米国医療費は世界1!業界構造を多角的に分析してみました。非常に複雑に絡み合っているのが理解できたと思います。
米国ヘルスケア銘柄は米国株投資家はディフェンシブ分野の代名詞として暴落に強く、そして投資家からも人気が高い銘柄が多いです。もちろん何も知らなくても投資的に成功できる可能性は十分あると思います。
ただ投資をする際に何がおこれば自分の銘柄の価値が変わるか。これは特に米国医療業界は複雑に絡みあっているので、多角的に着眼点を変えるだけでまた新たな投資判断ができるんじゃないでしょうか?