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今回は公益事業として暴落に強く、米国株投資をするとしたら投資検討する価値があると思われるアメリカ水道会社の銘柄分析を行っていきたいと思います。
*投資は自己責任です。あくまで参考にでお願いします。
- アメリカ水道会社 投資判断
- 世界の水環境・水ビジネス
- ヴェオリア・エンバイロメント
- アメリカの水環境・水ビジネス
- アメリカン・ステイツ・ウォーター
- アクア・アメリカ
- アメリカン・ウォーター・ワークス
- アメリカ水道会社 3社比較
- まとめ
アメリカ水道会社 投資判断
アメリカの水道会社としては代表的な会社が3社あります。
アメリカン・ステイツ・ウォーター(AWR)
アクア・アメリカ(WTR)
アメリカン・ウォーター・ワークス(AWK)
特にAWRなどは連続増配63年というとてつもない長い年月にかけて増配し続けている配当王銘柄になります。
更に3社ともこの10年間でS&P500と比較するとおよそ6倍もアウトパフォームしています!信じられない株価上昇になります。
特徴として3社ともPERが30近くで割高感はある為、現状ではなかなか手がだしずらいですがリーマンショック時にもほとんど株価が下落しておらず、また債券的な運用も可能な銘柄達になっています。
ポートフォリオにおいて債券の一部としたり、確実な配当収入を継続に得ることを目的とすれば投資価値は十分あると判断します。
但し@Arthur20190213 アーサーさんからリスクに関しても言及していただきました。民営から公営に政策によって変えられてしまうリスクです。そのリスクを丁寧にまとめてくださってるので是非ともご覧になってください。
ではそもそも世界の水環境や水ビジネスはどうなのでしょうか?その点も説明しながらアメリカ水道会社に投資するメリットもお伝えしていければと思います。
世界の水環境・水ビジネス
世界の水環境
2030年の水不足が予想される地域マップになります。白地が水不足が心配されない地域ですが、ほぼ全体的に水不足が進むことが予測されています。
*2030年世界はこう変わる
水ビジネス市場規模
下記が世界の水ビジネスの市場規模マップになります。ビジネス規模として世界で5位、現在76兆円の市場規模という事がわかっています。2028年には市場規模は110兆円近くなることが見込まれています。
水ビジネスの区分け
水ビジネスを区分けする時に、上水・下水・産業用排水の3つにわけることができます。参考までに各地域のビジネス規模と将来性は下記になります。
世界の水ビジネスの情勢
少しソースが古いですが、下記の様になっています。現在の市場規模から考えてそもそも民営化されてるのが76兆円中、7.5兆円です。更にその半分以上をオレンジの企業が占めているという状況です。
日本の水ビジネス
日本企業の売上が凄く寂しい事になってますね。国土交通省の下記サイトで調べたところ世界で水道水を飲める国は15か国だそうです。ただ国中で水道水を飲める日本はその中でもトップランクに水という観点では進んでると思います。
自分で一度水インフラに関して積極的に公共事業を進めている北九州に関して調査をしてみました。
海外での展開を考えると設備投資に莫大な費用がかかる為、ODAという国からの援助に頼る。またそもそも水を提供することによってお金を回収ないといった部分が問題になるみたいですね。
*下記はBMGというマーケティングツールになります。
以上でおおよその世界的な水環境と水ビジネスに関してイメージができたかと思います。次にその水ビジネスで世界最大手のヴェオリアの銘柄分析を行っていきます。
ヴェオリア・エンバイロメント
ヴェオリア・エンバイロメント (NYSE : VEOEY)
予想PER : 14.97
配当率 : 4.26%
連続増配 : 2年
本社 : フランス
今回は10年間の財務諸表&20年間のチャートを確認します。
*全てEUR(million)での数字になりますのでご注意ください。
①売上・純利益・粗利率
売上は2011年から大きく減少してその後横ばいになっています。純利益はほぼでていません。粗利率は2%弱と利益がほとんど上がっていないのがわかると思います。
②営業CF・フリーCF
営業CFとフリーCFがほぼ同じ数字になっています。2015年以降少し上昇しましたが、それから横ばいというより少しずつ減少していっていますね。フリーCFがなぜこんなに多いんだろう?と思ったら次の配当性向で理解できました。
③EPS・配当・配当性向
これを見ると本当に厳しい。厳しいと言わざるを得なくなります。
EPS自体も2011年に一度マイナスに転落してその後回復はしていますが、この数年ほぼ横ばい。配当性向が290.8%?と目を疑うような数字の為にキャッシュフローを配当に回すために営業CFとフリーCFがほぼ同数という結果になっていると考えられます。
④20年株価チャート
*StockCharts
最近少し盛り返してきていますが、最高値の60ドルから株価 は非常に低迷してることがチャートからもうかがうことができますね。
⑤投資判断
配当は4%を超えてるが連続増配が2年間、予想PER15%弱ということは成長性は弱いという判断になりますよね。
またチャートも魅力は感じないです。これなら水ではなくエネルギー関係になりますが、配当などを考慮してMLP(Master Limited Partnership(マスター・リミテッド・パートナーシップ)の略称であるEMBやKNBなどに自分なら投資をすると思います。
では世界的な水メジャーが苦戦する中で、アメリカ水道会社は投資価値があるのかを数値とアメリカの水環境を含めて次からお話していきたいと思います。
アメリカの水環境・水ビジネス
アメリカ水道会社の投資判断において記載した投資価値が十分あるといった内容を裏付けるポイントとして特に5つ挙げられます。アメリカの水環境と水ビジネス環境が大きく影響していると思います。
ちなみに世界で水道水を飲める国の一つがアメリカになっています。但し一部州のみです。基本的にはアメリカでも水は買うのが当たり前。シカゴがあるイリノイ州はミシガン湖が近くにあるため全米で最も水道水が美味しいといわれてる州です。
1.アメリカ水道会社は連続増配として実績がある。AWR63年・WTR26年・AWK11年
2.アメリカは人口動態が継続して増加する→ 年間約200万人増加を見込んでいる。→ということは水のニーズは増え続ける。
※データ出典;United Nations Population Division (国連人口統計)の中位予測
3.トランプ政権がインフラ政策に力をいれてる。2兆ドルのインフラ政策を民主党と合意。財源確保が課題。インフラ政策は大統領の党がどちらになっても支持される政策の為覆ることは考えずらい。
4.米国規制当局による水道料金の決定基準に株主資本利益率(ROE)や物価水準が絡んできており、インフレ負けするリスクが少ない。
5.米国の水道においては民間企業は人口の15%しかカバーしていない
4&5に関してはアメリカ部さんの記事が更に詳細に説明されています。
いかがでしょうか?アメリカの水環境と水ビジネスを考えた場合には水道会社自体の財務に問題がないのであれば、公益セクターとして水道会社を検討するのは非常に価値があると感じたはずです。
アメリカン・ステイツ・ウォーター
アメリカン・ステイツ・ウォーター(NYSE : AWR)
予想PER : 38.03
配当率 : 1.47%
連続増配 : 63年
本社 : カリフォルニア州(USA)
10年間の財務諸表とチャートを確認してみます。
*全てUSD(million)での数字になりますのでご注意ください。
①売上・純利益・粗利率
売上は2011年からほぼ横ばいですね。。利益率は2017年までほぼ右肩上がりで2018年に少し下降している状況です。純利益がこの5年間ほぼ同数というのを安定してるとみるかどうか。
②営業CF・フリーCF
やはり公益事業を営んでる為に設備面での投資に費用によってフリーCFはマイナスの年もありますね。
③EPS・配当・配当性向
配当性向は2017年はまでは50%ちょっとでしたが、2018年は60%になっています。但し配当余力としてはまだまだ十分ありそうですね。
④10年株価チャート
*StockCharts
チャートはきれいな右肩あがりです。リーマンショック時にもほとんど下落しておらず、更に近年は債券的な買われ方もしていることもあり、株価は右肩上がりが続いていますね。
⑤投資判断
2012年からの上昇は2017年4月に500年に1度といわれた非常干ばつが終了したというカリフォルニア州知事の宣言があったのですが、州から多くの補助金があり、規制参入障壁が非常に厚かった為だったと思います。
*実際もみあげは2014年にサンフランシスコに滞在していましたが、水は貴重でシャワーの時間も制限されるほどの状況でした。
とはいえチャートも綺麗な右肩上がり、寡占的ビジネス展開、配当性向60%となっているため、配当率は低いですが、将来も継続して配当が継続と投資価値は非常にあると思います。
ただし債券的な運用をされているため、現在の債券が買われてる状況を考えたら利下げ局面ではなく、利上げ局面など割安になった時に購入がいいかもしれません。
更に詳細な分析はアメリカ部さんのサイトがお薦めです!
アクア・アメリカ
アクア・アメリカ(NYSE : WTR)
予想PER : 28.47
配当率 : 2.1%
連続増配 : 26年
本社 : ペンシルバニア州(USA)
10年間の財務諸表とチャートを確認してみます。
*全てUSD(million)での数字になりますのでご注意ください。
①売上・純利益・粗利率
売上はそれほど大きく伸びていません。利益率は2018年度は大きく落ち込んでいますね。ぺンシルベニア州のガス会社Peoplesの買収を発表して(2018年10月23日)。それによる利益率の低下が現金と思われます。
②営業CF・フリーCF
こちらも公益事業を営んでる為にに設備面での投資に費用によってフリーCFはマイナスの年もありますね。2018年は先ほどの買収の影響かと思われます。
③EPS・配当・配当性向
配当性向は2017年は60%弱でしたが、2018年に配当性向が上昇しています。買収費用の為に余力がダウンしたのでしょうが、おそらく2019年には配当性向がまた下がると考えられます。配当余力はまだまだありそうですね。
④10年株価チャート
*StockCharts
チャートはきれいな右肩あがりです。リーマンショック時にもほとんど下落しておらず、更に近年は債券的な買われ方もしていることもあり、株価は右肩上がりですね。
⑤投資判断
2018年のガス会社の買収によって配当性向が上がってしまっていますが、綺麗な右肩上がりのチャート、また公益事業として寡占的なビジネス展開をできるために、投資対象として十分魅力があると思います。
更に詳細な分析はアメリカ部さんのサイトがお薦めです!
アメリカン・ウォーター・ワークス
アメリカン・ウォーター・ワークス(NYSE : AWK)
予想PER : 32.89
配当率 : 1.69%
連続増配 : 11年
本社 : ニュージャージー州(USA)
10年間の財務諸表とチャートを確認してみます。
*全てUSD(million)での数字になりますのでご注意ください。
①売上・純利益・粗利率
今回紹介したアメリカ水道会社3社の内で唯一売上が右肩上がりなのがAWKです。粗利率も上昇してきているのは非常に好材料ですね。
②営業CF・フリーCF
やはり公益事業を営んでる為にに設備面での投資に費用によってフリーCFはマイナスになっていますね。積極的に統合も仕掛けてる会社になりますので売上上昇の為に設備と投資費用にキャッシュを利用してると考えられます。
③EPS・配当・配当性向
2008年に買収先から独立しIPOをした会社であるために、2009年はEPSがマイナスになっていますね。よってそこからの連続増配11年という事になります。
配当性向は概ね60%以下になっていますので、こちらも配当余力十分ですね。
2021年までに年7-10%のEPS成長を目標としている。そうです。
④10年株価チャート
*StockCharts
チャートはきれいな右肩あがりです。こちらも同様にリーマンショック時にもほとんど下落しておらず、更に近年は債券的な買われ方もしていることもあり、株価は右肩上がりですね。
⑤投資判断
2008年まではドイツのRWEという電力会社に買収されていた為に、データは残っていませんが、創業は1886年と古く更に財務は非常に健全、EPSも上昇という事無しの銘柄だと判断できます。
但しこちらもPERが30近くと割高になっているため、その点を判断して買い時が来れば購入といった流れができれば長期的にホールドできる銘柄になりそうですね。
更に詳細な分析はアメリカ部さんのサイトがお薦めです!
アメリカ水道会社 3社比較
もみ上げがもし購入するとしたら3社を比較した表に基づいてAWKを購入すると思います。時価総額が他の2社に比べて非常に大きい事。財務も右肩上がりで将来性が非常に高いと思うからです。
まとめ
いかがでったでしょうか?
アメリカ水道会社の銘柄分析を世界の水環境や水ビジネスを紹介しながら今回は行いました。水というインフラは人間にとって必需品であり基本的には無くなる事が考えられないインフラになります。
そして更にアメリカの水道会社の事業環境とビジネスの5つのポイント
1.今回紹介した3社とも財務的に安定してる。1社は上昇中
2.アメリカは人口動態が継続して増加する→ 年間約200万人増加を見込んでいる。→ということは水のニーズは増え続ける。
3.トランプ政権がインフラ政策に力をいれてる。2兆ドルのインフラ政策を民主党と合意。財源確保が課題。
4.米国規制当局による水道料金の決定基準に株主資本利益率(ROE)や物価水準が絡んできており、インフレ負けするリスクが少ない。
5.米国の水道においては民間企業は人口の15%しかカバーしていない
を考えた場合、今回ご紹介したアメリカン・ステイツ・ウォーター、アクア・アメリカ、アメリカン・ウォーター・ワークスの3銘柄とも長期投資家としては非常に魅力的な銘柄になるのではないでしょうか?
もちろん他にも先述のリスクはあります。それをしっかり考慮に入れながら投資を検討して頂ければと思います。
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